自閉症の人が、平均寿命よりも18年短いという研究結果とその理由
自閉症は、世界各国でいろいろな研究が行われています。
原因の追究やその後の過程において詳しい調査がされ、症状に苦しむ人やその家族にその結果が大いに役立っているのです。
しかし、研究内容は必ずしも明るいものばかりでなく、そのリスクも調べられます。
その中で自閉症の人の寿命は一般的な平均と比べて18年短いという研究報告がされました。
これはスウェーデンの研究機関が発表したもので、自閉症の人と一般的な人とで長年調査をした結果となっています。
18年短いというのはあくまでも平均であり、寿命がそれ以上の人やそれ以下の人もいます。
このような寿命に関する結果は世界的にも衝撃を与えましたが、なぜ寿命が平均的に18年も短くなってしまうのでしょうか。
18年短いというのは、それだけ短命の人が少なくないということにもなります。
この研究報告では、その理由も合わせてさまざまな見解が述べられています。
まず、一番に取り上げられたのが社会的な要因が大きく関わっているという問題です。
社会的な要因が寿命の長い短いに影響してしまうのは疑問に思われる人もいるかもしれませんが、簡潔にあらわすとストレスです。
ストレスが自閉症の人の人生に悪い影響を与え、平均寿命よりもかなり短い結果が出たとの見方が強くなっています。
医療に関するさまざまな研究では、ストレスは人の健康を脅かす悪い作用があることが年々明らかになってきました。
ストレスは精神的・肉体的にも異変を感じるようになり、人格の変化や動脈硬化にまで疑いが認められています。
自閉症の症状が周りに理解を得られず、社会的な立場も弱い傾向にある人も多いため、世の中の行き辛さを自然と感じてしまっているのかもしれません。
今でこそ支援体制が普及してきましたが、まだまだ完全ではない状況もありえます。
精神的に不安定な若い世代などは追い詰められてしまう可能性もあり、自ら死を選ぶ人もいると言います。
そういった現実が、寿命が短いことにつながっているのではないかと言われているのです。
また、自閉症の治療では投薬が欠かせない場合もあり、食事や運動が制限されている人も少なくありません。
こういう治療を長年続けていれば、寿命にも何らかの支障があると見られ、結果的に短い寿命になってしまうおそれもあります。
自閉症の症状にも軽度から重度とあり、全ての自閉症の人が当てはまるわけでもありませんが、総合的に考えれば関係性がないとは言いきれません。
長年にわたる貴重な研究結果とともに、自閉症の人にとってストレスを感じない生活を多くの人が考えていかなければいけません。
人生を長く快適に送っていくためにも、寿命が短い傾向を真剣に受け止めていくことが課題となっています。