大人の自閉症スペクトラム障害、軽度の例について
自閉症をはじめとした発達障害、とりわけ「自閉症スペクトラム障害」が注目されている中、大人で軽度の例はあるのか、そのような人はどのように生活をしているのでしょうか。
まず、大人で軽度の例は少なくありません。
幼少から青年期まで「普通」に暮らしていたが社会人になってから不適応感があり、発達検査を行った結果、軽度の自閉症スペクトラム障害であることがわかったという人が増加しています。
軽度だからといって「楽」ではなく、本人に合わない環境に置かれると適応することが難しいことがあります。
場合によっては職業や職場に慣れにくく転職を繰り返すこともありますが、一方で、発達障害と診断されていながらも本人やその周囲が特性・傾向をうまく把握し活用することで、人並みまたはそれ以上に社会の中で活躍している人も少なくありません。
自閉症スペクトラム障害には大きく三つの障害があり、「対人関係の障害」「コミュニケーションの障害」「こだわりの強さ」があげられます。
軽度の例では、これら三つの障害のいずれかだけが発現している場合や、三つとも障害的な傾向はあるものの顕著ではないという場合などがあります。
大人になってから診断される人は、おおむね学校生活を順調にこなしてきて、社会に出てから不適応を起こして診断されるケースが多くあります。
そのようなケースでは周囲から「自閉症スペクトラム障害であることが信じられない」といわれるくらい普段はいわば「普通」のように見えることが多く、それゆえに本人が社会の中で不都合を抱えていることが見た目ではわからないため、不適応感が強まってしまうことがあります。
しかし、大事なのは障害があっても必ず「得意分野」や「強み」があり、それを活かせば社会の中で活躍することができ、そのための工夫や配慮をすることは可能だということを認識することです。